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TM-MJN34、TMR34比較 2基インプレッション/シャシーダイナモテスト

このコンテンツの作成を思い立ったのは某Bikers Station誌の「CR、FCR、TMR完全比較」なる特集を拝見したときからである。
以前FCRで計測した時のデータが残っていたので参考までに付しておくが、OHから2万kmを走っている、気温が8度近く違う、セッティングがベストではなかったなど、同条件とは言いがたいことを付け加えておく。

●TM-MJNキャブレターインプレッション

まず最初にインプレッションはあくまで管理人の主観に基づく事を断っておく。
エンジンをかけた直後から非常に鼓動感が大きい点が挙げられる。吸気音は静か。
ブリッピングをしても終始大きな鼓動を感じる。
『単気筒らしさ』という点ではSRにも似た重厚な手ごたえがあって、シングルフリークには堪らないだろう。
走り始めるとその荒々しい回転フィールが印象に残る。一発一発が非常にはっきりと全身に刻まれるトルクフィールは、慣れない人には粗野でがさつに感じるかもしれない。
トルク型でハンマーで撲られるような加速である。
MJNの哀しさか、パーシャル時からのスロットルの微調整による加減速はスムーズさを欠くが、普通に扱う分にはギクシャクすることはない。
既にスロットルバルブのテフロンコーティングが剥がれているためか、若干張り付きが出る。コーナーに入る直前にエンジンブレーキを利かせてしまうと、クリップで少々慌てることになる点は惜しい所。

●TMR-34キャブレターインプレッション

エンジンをかけると振動の少ないことに気がつく。ブリッピングをしても鼓動感はやや薄め。
吸気音はやや騒々しく、Vシールのカタカタという音と、リンリンと鈴を振るような独特の吸気音が聞こえる。
アクセル開度はTM-MJNよりもハイスロットルの設定。90度近く回るTMに対して75度前後だろうか。その分操作は少し重い。

走り始めるとTM-MJNにないツキの良さを感じる。ただ、ちょっとツキがよすぎで気をつけないとドンツキ気味になる点はマイナスか。
鼓動感は小さく、非常に洗練されておりスムーズな印象。加速はクロスボゥ(石弓)か銃弾といった風情で、まるで弾き出された弾丸のよう。
TMよりキャブレターボディ長が短いためか高回転高出力を指向するようだ。
純粋に走りに没頭するならば、開けはじめにタイムロスが出ない、長時間ではノイズとなりうる鼓動感を余分に伝えないという点でTMRのほうがより集中できるだろう。

■シャシーダイナモテスト


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グラフのブルーがTMR、レッドがTM-MJN、そしてグリーンが参考までに付したFCR(パワーのみ)である。
当日の気温は23.5℃。気圧は986hPa。
テストベッドとなったのは管理人の愛機1JKで仕様はヨシムラ680ccキット+ヨシムラSt-2カム、排気はサンパーである。

なお、TMR、TM-MJNがエンジン走行距離4500km時のものに対してFCR37では20000kmを走っており気温は31.7℃、MJのセッティングが僅かに薄かったことからピークパワーで5psほど劣ってしまった。

各キャブレターのセッティングは
TM-MJN(MaxPower:58.3ps MaxTorque:6.2kg・m) MJ=132.5 クリップ位置4段目 PJ=20 PAJ=1.0 PS=1回転1/16戻し
TMR(MaxPower:58.7ps MaxTorque:6.1kg・m) MJ=170 JN=9E12-52 1段目 PJ=32.5 PAJ=125 PS= 1回転3/8戻し

意外だったのは両者全くの互角であったこと。
ピークパワー、トルクはおろかカーブまでそっくりで出力的には殆ど誤差程度の差異しか認められない。
走っては中間加速でTM-MJN、後伸び感からパワーではTMRと踏んでいたのだが、面白い結果となった。
なお、TMRで2500rpm近辺が不安定なのは、スローの再調整を怠ったままベンチにかけたからと思われる。

それにしてもMJで40番近く違うのにこれほど似通ったパワーカーブを描くとは思いもよらなかった。
図らずもMJNの高効率性を実証したようだ。
TMRはもう少しばかりセッティングを煮詰めることで、ほんの僅かにTM-MJNに届かない中間開度域もほぼ同レベルに引き上げることが出来るものと思われる。

……輪切りにならなくてヨカッタ……ホッ(爆

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