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「seven」
気がつけばかなり遠くまで来ていた。
甲高いエキゾーストノートに酔いしれながら、夢中でステアリングを握っていた。
その瞬間が私にとって総てであった。
めまぐるしく上下するタコメーターを視界の片隅に置いて、現れては消えるコーナーを駆け抜ける。
まるでタップダンサーのようにペダルを踏み、休む間もなくシフトノブをゲートへ押し込む。
Gが体を前後左右に激しく揺さぶる。締め上げられた足回りは路面の凹凸をダイレクトに伝えてくる。
軽い車体はちょっとした事で飛んでしまいそうなほど不安定で、車重に不釣合いなほど強力なエンジンはリアタイヤのグリップをたやすく奪う。
低い着座位置は体感速度を加速度的に増加させ、剥き出しの「マイク・ザ・パイプ」が吼えたてる。
我ながら何と物騒な乗り物か。
その馬鹿馬鹿しさを味わうために私は今日も峠を走り、コクピットで一人口の端を歪めるのだ。
使用画材:
STAEDLER KARAT 水彩色鉛筆
ケント紙