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「宇和島にて」 (1996年8月21日)

港は少しアンニュイな空気に包まれていた。
潮風にさらされて赤茶けた港湾設備も、既に随分長い間繋留されているであろう旧い船も、そして碧(みどり)色の水面(みなも)もすべてどこか気だるげな昼下がり。
蝉の声は遠く、海鳥の啼く声が時折潮騒の彼方に紛れた。
時間の流れが歪められた異次元空間に居るような、奇妙な感覚に囚われて一瞬狼狽する。
だが、しばらくすると気付くのだ。
たゆたう水泡(みなわ)を見るまでもなく、この空間はこの時間によって支配されているのだと。

使用画材:
STAEDLER KARAT 水彩色鉛筆
水彩紙



使用画材:
holbein Acryla Gouache
muse イラストボード BBケント

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