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Parts Impression

Carlsbad製シート

純正シートに疑問をもったのは、エンジンをブローさせて半年ほど修理のために乗れなかった頃に遡る。
修理があがるまでの間、弟のXJR400をたまに借りていたのだが、このXJRのシートというのがSRXに比べて格段に進歩しているのに舌を巻いた。コシのあるスポンジも、尻の形にフィットする形状も、体重移動で引っかかるほどザラザラでもなく、それでいて滑らない表皮も、総てにわたってSRXを凌駕していたのだ。

それは修理があがった愛機に跨った瞬間、幻滅という屈辱をたっぷり味わわせてくれるほどに違った。
XJRのシートに比べれば、SRXはまるで樹皮のむけた丸太に跨っているよう……と言って過言でなかった。とは言え、慣れというのはオソロシイもので2~3ヶ月もするとすっかりその違和感はなくなっていたのだが。

シートへの不満を再燃させたのは、友人のAZMAN氏のSRXに跨ってから。
形状、スポンジ、表皮、そのどれもがほぼ理想ともいえる性能を具えていた。聞けば「カールズバッド」さんで加工してくれるのだという。シートをオーダーすることは既にこの時点で決定事項であったといえよう。

純正シートの不満点

山なりに盛り上がったシート座面のおかげでホールドが不安定になりやすいきらいがあった。また、荷重が一点に集中するので長距離では尻に痺れ・痛みが出ることもある。
表皮が滑りやすく、また前下がりになったシート形状により、下りのブレーキ時には体が前に流れやすく上体の保持が難しいこと。(ただしこの点については、ワタシの愛機がバックステップを装着していることも大きな要因といえる)ハングオフしたときの膝の収まりが今ひとつであることなどが挙げられる。

 

シートに望んだ性能

最も重きをおいたのは表皮。
非常に滑りやすく、下りの峠では体が前にずり落ちて十分な後輪荷重が得られない。
また、これはスポンジ形状の問題だろうが、丸太に乗っているような妙な違和感も改善したい。あとはバックステップが入っている故に着座位置の微調節が必要。感覚としては3~5cm程度後ろに座りたい。
形状についてはノーマルが非常に気に入っているので出来る限り手を加えないでいただきたい。
シート表皮の柄、縫製、色に至るまでノーマルを踏襲したい。
(↑あまり「改造しています!」と言う雰囲気が好みではない由)

 

以上の要望をカールズバッドさんに伝えた。
本来ならばメールだけでやり取り……という事になるのだが、偶然にも職場がカールズさんのご近所と言うこともあって直接イメージを伝えることができたのは僥倖であった。
シート表皮が1度の打ち合わせで納得いくものにできたのも実際にサンプルを手にできたところが大きい。

カールズバッドさんでは既にかなりのSRXのシートを手掛けられており、イメージさえきちんと伝えられれば私などよりはるかにシートについては詳しいわけで(そりゃプロですから(^^; )あとは殆どお任せと言うことでシートを預けます。
預けたシートの代わりにお試しシートをお借りすることが出来たので、これを基に細かい仕様を煮詰めていく。

カールズさんよりお借りしたシート。
これはこれで非常に格好よく機能的。(^^

 

仕上がったシートはどちらかと言うと峠仕様。
非常にソリッドな乗り味で、ダイレクトな接地感が魅力。峠マシンと割り切ればこれはこれでアリだったのだろうが、300km強の峠主体のツーリングであまりの乗り心地のハードさに腰に痛みを覚えて改修を決断。
重い荷物をデイバッグに詰めて背負う……といういつもの乗り方を考慮しなかったのが原因。
乗り心地の向上をお願いしつつ、シート形状にも若干の修正をお願いすることにした。
シート形状の不満……というほどのものではなかったのだが、腿の部分の一体感がやや希薄であった為、少し肉盛りしてみることに。

手前が管理人の愛機。
このシートは少々ハードすぎた。(苦笑
後ろは同じくカールズさんでシートを作られたBLK@KYOTO氏の愛機。
同じような形状に見えるが座ってみると別物である。

完成したシートは適度なすべり心地の表皮(体重移動で腰をいちいち上げる必要はないが、ブレーキング時などではガッチリと下半身をホールドする)、自然とノーマル比で4cmほど後ろに座ってしまう着座位置、尻を包み込むような形状とオーダーした条件はパーフェクトに実現されている。
ワイラックススポンジは今回カールズさんから提案のあった部分だが、もっちりとした乗り心地ながらリアタイヤの存在はしっかり主張する、純正スポンジにはないフィーリングでこれも満足できるもの。

ただし、気温が低くなると極端に固くなる傾向がある。

私の使っているシートで気温10℃を割り込むとシートはまるで樹脂の板のようになる。座り続けていると体温でじんわりと柔らかさを取り戻していくが、注意が必要なポイントだろう。

各写真をクリックすると拡大します。

その後、ワイラックススポンジに亀裂が入って表皮に凹みができるという小トラブルに見舞われたが、カールズさんにて迅速なリペアを受けることができた。前回スポンジを追加してから2ヶ月経っていなかった事もあって無償補修が受けられたのだが、アフターフォローも非常に心地よいものであったことを申し添えておく。

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