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FZR1000(1994年モデル)
1985年に世界初の1シリンダーあたり5バルブを実現したFZ750を祖に持つ水冷5バルブジェネシスエンジンは熟成期に入っていた。
90年ごろと言えばラジアルタイヤ、倒立フォーク、モノショック、強靭なシールチェーン、そしてアルミのツインスパーフレームなどの発明によってエンジンの更なる高出力化が可能になり、各メーカーはこぞって高出力車の開発に心血を注いでいた頃。
その出力を受け止めるために更に高剛性の車体が必要だったが、それは同時に車体を重くしていき、実質上のトップレンジモデルとなるリッターバイクは高出力のハイスピードツアラーの性格を強めていった。
そんな時代の中で生まれたのがFZR1000である。
おそらくその頃からYAMAHA社内でもリッターバイクの重量化を懸念する声があったのだろう。
それまで全くのツアラー然としていたFZRにレーサーレプリカYZF750R/SPと同じデザインの外装を与え、内部構造を変更したFフォークや、6ポットとされたFブレーキキャリパーなど足回りもレーサー然としたものに変更。
145psの怒涛のハイパワーを受け止める素地を徹底的に作りこまれた。
また当時の同排気量ライバル車に比べて圧倒的に軽い(CBR1000F:235kg GSX-R1100W:231kg ZZ-R1100:233kg(全て94年当時))のも美点。
そう書くとまるでレーサーのようなハンドリングを想起するが実際にはツーリングも苦にしない。
当時はまだ現在ほど尖ったマシン作りがされていないために、いい意味での中庸さが残っているが、この後登場するYZF1000
Thunder Aceにより、リッターバイクは戦争とも言うべき過激な先鋭化の道を爆走する事になる。
(写真提供: 風早彦氏)
全長 | 2,205mm |
全幅 | 745mm |
全高 | 1,080mm |
ホイールベース | 1,470mm |
最低地上高 | 135mm |
シート高 | 775mm |
キャスター/トレール | 26゜25/108mm |
乾燥重量 | 214kg |
エンジン形式 | 水冷4サイクルガソリンDOHC4気筒5バルブ |
潤滑方式 | ウェットサンプ |
排気量 | 1002cc |
ボア×ストローク | 75.5×56.0mm |
圧縮比 | 12 |
最高出力 | 145ps/10,000rpm |
最大トルク | 10.9kgm/8,500rpm |
変速機 | 常時噛合式リターン5速 |
タイヤサイズ | F:130/60VR17 R:170/60VR17 |
フューエルタンク容量 | 19L |