キャブレターとは何か / キャブレターの種類と構造 / メンテナンスについて / セッティングとは / エンジンを掛ける前に / セッティングの実践 / 用語集 |
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メンテナンスについて |
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キャブレターはその簡単な構造から、機械的な故障は起こりにくいと言えます。
ノーマル仕様車を恒常的に運転する限りは、キャブレター本体に頻繁なメンテナンスは不要といって過言ではなく、メンテナンスはキャブレター周辺がメーンになります。
通常のキャブレター周りのメンテナンスとして
1. スロットルワイヤへの注油
2. エアクリーナエレメントの清掃
などが挙げられます。
1. スロットルワイヤへの注油
スロットルバルブとスロットル(ペダル、グリップ)をつなぐワイヤへ注油します。ワイヤインジェクタなどを用いて潤滑油を吹いておけば完璧ですが、ビニールなどをワイヤに縛りつけて漏斗を作り、エンジンオイルなどを注いでも構いません。
ワイヤグリスを吹いても構いませんが、粗悪なものだと冬季に低温で固まり、かえって動きを阻害しますので要注意です。
もちろんワイヤにへたりがある場合は交換します。
2. エアエレメント清掃
純正のエアクリーナエレメントは大まかに湿式と乾式、ビスカス式の3通りの種類のエレメントが存在します。
湿式はスポンジに僅かに(防塵、防炎を目的に)オイルが塗布されています。
乾式は不織布などを用いたフィルターです。
ビスカス式は乾式と湿式の中間のようなフィルターで、ろ紙などにオイルを含ませています。
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湿式のエアクリーナエレメントは洗浄剤(もしくは洗い油)で洗うことで寿命を延ばすことができます。
メンテナンスのサイクルは使用状況によって変わってきますが、最後に塗布する防塵オイルが空気中のゴミを捕らえて離さないため、比較的早い時間で吸入効率が低下すると考えてよいでしょう。
(だからってオイルを塗らずに済ますと、エアクリーナとしての性能は発揮されないので念の為)
取り出したエレメントはたいていスポンジでできていますので、洗浄剤(灯油など洗い油でも代用できます)でそっと揉むように洗い、洗浄後はよく油分を切っておきます。
その後防塵オイル(なければ2サイクルエンジンオイルでも構いません)を薄く塗って、エレメント全体に行き渡るように揉んだらできあがり。このときオイルはつけ過ぎないように気をつけてください。(つけ過ぎると吸入抵抗が増えたり、エレメントが汚れやすくなります)
僅かに湿っている程度……古新聞紙などでエレメントを包んで押し、余分なオイルは吸わせてしまうくらいで充分です。 |
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乾式エアエレメントは主に不織布や目の粗い紙などを折りたたんで作られており、洗うことができません。
通常のメンテナンスではエンジン側からエアブローするなどしてホコリを落とすほかは、目視により傷や穴、オイル汚れなどがなどがないかを確認するだけです。
その代わりひどく汚れてしまったエレメントは交換するしかありません。 |
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ビスカス式エアエレメントは基本的に清掃できません。オイルがホコリを捕らえて離さない為に、エアブローでホコリが落ちるような事はありません。
ビスカス式は完全メンテナンスフリーのエレメントといえるでしょう。しかし、乾式と同じく汚れてしまったエレメントは交換するほかなく、使い捨てのものという認識が必要です。 |
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エアファンネルは漏斗(ろうと)状の部品で、キャブレターのメーンボアに直結しています。
ファンネルには整流効果(空気の流れを整える)があって、ファンネルの長さによって出力特性を僅かながら変えることもできます。(一般的に長いとトルク型に、短いと高回転型エンジンになります)
もともとはエアクリーナーを撤去して取り付けていましたが、最近ではエアクリーナーボックスの中にファンネルを取り付け、ボックスにはクリーナーを設けるものも増えています。
エアクリーナー付きのファンネルですと、メンテナンス上特に問題ないのですが、ファンネル剥き出しの状態で走られる場合はキャブレタ本体の汚れが相当なものになりますので、メンテナンスは通常のメニューに
1. 各ジェットのエアブロー
2. スロットルバルブ周りのエアブロー
などを追加してください。
また、駐車時も出来ればファンネルにフタをして異物の混入を防ぐなど、細かい気配りがエンジンの寿命を延ばすのに有効です。 |
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パワーフィルター(パワーフロー)とは社外品として市販される低抵抗フィルターのことをいいます。
不織布、スポンジなどから作られ、たいていの物は洗浄することで長期間の使用にも耐えますが、容量は純正品よりも小さいことがほとんどなので一層こまめにメンテナンスする必要があります。
メンテナンスは湿式エレメントの清掃に準じますが、洗浄方法とケミカルはフィルターメーカーの指定に従うのが間違いないでしょう。
また、パワーフィルターの中には純正クリーナエレメントほど高い空気清浄効果が望めないものもありますので、エアファンネル同様各部のエアブローを定期的に行いましょう。 |
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不動期間の長いキャブレターのメンテナンス |
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長い間エンジンを運転しないで放置すると、キャブレター内の各パーツが腐蝕を起こしたり、劣化したガソリンがこびりつくなどしてガソリンや空気の通路が詰まったり狭くなったりします。
この状態ではセッティングが狂って本来の性能が発揮されません。
そればかりか走行中にエンストを起こすなど、危険なケースもありますので「ヘンだ」と感じたら早めに手を打ちましょう。
(具体的な症状としては全体的に薄い症状が出る、黒煙を噴く、アイドリングしないですぐに止まる、レスポンスが悪い、など)
症状が軽い場合は、キャブレタを分解して各ジェット類をパーツクリーナなどで洗浄するだけで復帰します。
症状が重い場合は、ドブ漬けといってキャブレタを分解した状態でキャブクリーナーや灯油を溜めたボウルの中に沈めてしばらく放置する荒業もありますが、FCRなどレーシングキャブレターの中には封入したグリスが流れるなどの理由で注意を要するものもあります。
以上の作業を行っても性能が戻らない場合は、残念ながらジェット類を交換するしかありません。 |
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キャブレターの定期交換部品 |
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キャブレターの中で磨耗が発生するパーツは限られているとはいえ、存在します。
例を挙げるならばフロートバルブ(ニードルバルブ)、スロットルバルブ、ジェットニードルなどがそれに当たります。パーツを見て段付き磨耗が見られたり、メッキがはげていたりするようなら交換が必要です。 |
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