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セッティングとは

機械を完璧に動かす為には調整が不可欠です。
もちろんキャブレターも例外ではありませんが、キャブレターの調整はキャブレターの為ではなくエンジンの為に行うということを忘れないで下さい。
キャブレターのセッティングミスは最悪エンジンを壊すなどの重大な事故の原因となりますので、作業はくれぐれも個人の責任で慎重に行って下さい。

さてキャブレターのセッティングですが、キャブレターの口径から空気の量はある程度決まっていますので、調整するのはおもにガソリンの流量の方です。(エアフィルターの有無などで空気の量をある程度変更することは可能ですが)
ガソリンの量を多くすると濃く、反対に少なくすると薄くなるわけです。

キャブレターのセッティングと言うと何だか難しそうですが、結局エンジンにとっては濃いか、薄いか、ちょうど良いかの3通りしかありません。あらゆる回転域でちょうど良い濃さの混合気を送れるようにするのがキャブレターセッティングの最終目標と考えて下さい。

時間さえかければ誰だってある程度のセッティングは出せますので、焦らず根気よく作業してみてください。

 

セッティングの必要性

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機械を完璧に動かす為には調整が必要と先ほど説明しましたが、メーカー製の自動車やオートバイは既に出荷時にかなり高いレベルでセッティングが施されています。
特に最近の車両(新車は四輪はおろか二輪車からもキャブレターは姿を消しつつありますが…)を全くノーマル状態で運転される場合には、下手に触ると調子が狂ってしまうほどで、全くノーマルの方はこの項を読み飛ばして頂いても構いません。
しかし、エアクリーナーをパワーフィルターやファンネルに交換したり、キャブレターそのものを交換した場合、『絶対に』セッティングが必要になります。

では、セッティングが外れているとどうなるのでしょう?
純正のエアクリーナーを外して社外品の低抵抗フィルターをつけたり、エアファンネルに換えたりと言った事はよくある事ですが、このままでは吸気抵抗が減ってキャブレターに入ってくる空気が増えてしまい、ガスは薄くなってしまいます。
ガスが薄いということは空気の量に比べてガソリンが少ないと言う事です。
ガソリンは揮発油でとても蒸発しやすい液体ですが、ガソリンがエンジン内で蒸発するときには周囲の熱を奪います。(これを『燃料冷却』と呼びます)
ガソリンが少ないとこの燃料冷却が望めないので、エンジンの温度が下がりにくくなります。

エンジンが過熱(オーバーヒート)するとさまざまなトラブルが発生します。
エンジンオイルが過熱して粘度を失い、シリンダー内壁の油膜が切れてしまうと軽くてカジリ、重症ならば焼き付きをおこします。
またピストンが熱に耐えきれずに溶けてしまうと「棚落ち」、シリンダーに溶けたピストンがくっついてしまう「抱きつき」など、薄いままで走行させた場合のトラブルは致命的なものが多いので注意しましょう。
その他にも、薄い混合気でエンジンを運転するとノッキングと呼ばれる異常燃焼を起こしやすくなり、燃焼室にクラック(ひび)をいれる事もあるので、油温や水温が適正でも油断は禁物です。

 

反対に濃い場合はどうでしょうか?
空気に対してガソリンが多いと、燃えきらないガソリンが煤(すす)になってしまいます。
このすすが増えすぎると点火プラグに付着して失火を起こしたりします。
また吸排気バルブにすすがたまるとバルブがぴったり閉じなくなって圧縮漏れを起こしエンジンの性能が発揮されないばかりか、最終的にエンジンが掛からなくなってしまいますので、こちらも注意が必要です。

 
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